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【スキー・モーグル/新谷 奈津美】ママアスリートの挑戦!(No.001)

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ママ・アスリートとしての復帰と人生を賭けた再挑戦

スキー・フリースタイル・モーグル競技で日本一を目指していたが、2012年に出産、育児も影響して一区切りとして2015年に一度引退。しかし、持ち前のポジティブ思考と大きな目標を持った事で、2016年に競技復帰。しかも、現役時よりも大きな目標となる、世界一を目指す覚悟を決め、人生設計そのものを変革。女性アスリートは勿論、全ての女性に対して、自身が事例となって社会に影響を生みたいという強い想いが今、試されようとしている。

アスリートとして、社会人として、女性として、人としての新谷奈津美を探る!

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インタビュー

アスリートの定義と社会的位置付けとは?
(アスリート職業者って何?)

「高い目標に向けて最高の準備を行い、結果を自ら勝ち取る者」だと、私は思います。
そもそもアスリートは競技をする上で、大きく2つの事が大切だと私は思っています。

『自己分析』 と 『ゴール分析』。

『自己分析』 とは、自分自身の「身体・心・環境・競技レベル・知識・資金」など、その時点での自分に関わる全ての事を詳細に分析し、受け入れる事です。
『ゴール分析』 とは、目標を徹底的に細かく分析して設定する事。
この2つを地図の現在地とゴール地点と位置付けて、確実にゴールへ向う、これが準備です。

かつて私は、パフォーマンスアップしか見ていませんでした。ひたすらに練習時間を作ってトレーニングを行い、誰よりも汗を流してきたと、自負しています。
それは一見アスリートらしい事なのですが、結果には繋がりませんでした。ただトレーニングをしているだけではアスリートとは言えないと再認識しています。「〇〇の為に!」という目的を明確にして、自己分析とゴール分析を行い、
これを実践する為の最高の準備ができる者をアスリートと呼ぶ、と信じています。

勿論、企業人にとっても学生にとっても、自己分析とゴール分析は必要なのですが、そこへ向かう心は、アスリートの方が強いと思います。ですからアスリートは、社会に対してパフォーマンスによる感動の提供者だけでは無く、永い人生において、その時点その時点における自己分析とゴール分析の重要性の伝達者、という点で社会と繋がっている事が重要だと思います。

アスリート職業者だからこその良き経験は?
(アスリートで良かった事は何?)

人としての経験値を、「受動的ではなく能動的に高める」事ができるようになった点と、何時の年齢でも「こうしたい!」という信念を持ち続けられるであろう点。

私の場合、どこか世間とはズレた思考や行動をしているのかもしれません。
「スキーがしたい!」と思った時、私は中学生で高校進路を決めなければならない時期でした。 私は迷わず、スキー優先生活を実現する為に、通信制の高校へ行きました。 「通信制なら自宅学習だから楽だ」と考える者も居ましたが、月1回の登校日制で2回目には姿を消す者も居て、時間管理もできないようでは通用しない、意外と厳しい通信制なのです。私は「スキーの為に!」と目的・目標が明確だったので、時間管理は実践できていました。
車の免許を18歳で得たのも「スキー場に自分の足で!」 との思いでしたし。合格率20%以下と言われる日本体育協会公認アスレティックトレーナーの資格取得も、「トレーナー知識が私自身にあれば選手として強くなれるはず!」との考えからです。

その後、2012年の出産と育児で2015年に引退しましたが、母という立場でもTOPを目指したい!という想いの強さに自分自身が気付き、2016年に再挑戦する覚悟を決めました。一度引退した者が「こうしたい!」と発言する事の難しさを色々と経験しました。
特に女性の、そして更に母となった者の想いは、「出る杭」と社会に映ります。ですが、私の性格上、「こうしたい!」「これをやる!」と自分から動く信条と行動こそ、自分の人生を変えてくれていたのだと再認識して、引退撤回でTOPに向けて再挑戦を決めました。周りの否定的な声も有ったので「あ、どこか自分はブレているのかな」と客観視しましたが、止めろと言われる程に自分の道を追求したくなる・・・これを悪い方向では無く、良い方向に作用させなければなりません。
誰かの指示通りに動く事を一切受け入れてこなかった、という良くも悪くも我流を貫き通してきた人生ですので、もう一度、アスリート人生を追求する!15歳の時の「スキーをやる!」という原点に戻って、今後の人生を充実させたい。
このようなワガママとも受け取られる想いを通せる事も、逆に考えると、アスリートで良かったな、と思える一瞬となります。

戦績目標と日常的目標は?
(アスリートとしての目標と人としての目標は何?)

2022年、北京で開催される冬季オリンピックで金メダルを勝ち取る!
何が何でもこれを達成したい!

ママ・アスリートとして3年が経過しました。
競技復帰する中で「子育てに集中するべき」とか「随分な御身分ですね」という声も少なく無く、母親とアスリートの両立は、社会から応援や支援を得られないのだなと痛感もしましたが、そこは物事の超ポジティブに捉える私ですから、母となった=守るべきものが出来た事で、新たな挑戦に挑む決断に繋がりました。

「我が子の前では最高の笑顔を見せられる母でありたい」

私がトレーニングに集中する時間を再び持つように成った事で、家の中が明るくなったと感じます。これはもしかしたら、私だけでは無く、多くの母に共通する事かもしれない、と仮説を立てました。真にやりたい事を、家庭の事情や世間体で我慢している方が居るのならば、私が実践して「できるよ!」 と見せたいんです!

「女性アスリートは、母になってこそ発揮できる強さがある!」と私が証明したい。

それはスポーツに限らず、趣味でも仕事でも何でも良いのですが、「常に挑戦する!」・・・これこそが、アスリートという職業者が社会に伝えられる事だと思いますし、一社会人として、一人間として、一生続けなければならない目標としています。

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プロ意識とは?それは社会に影響する?
(プロ意識は社会に必要なのか?)

「自分自身の個性がハッキリしている事」

カッコよく言うと「自分だけのブランド意識」を持っているか。
私の場合、スポーツ界では僅かな「母=ママ・アスリート」がその1つと言えます。スポーツ界でのプロとは、競技で生計を立てているかどうかが基準に見られがちですが、私はそこにプラスして「自分はこれがウリです」という独自性を持つ選手がプロと思います。ですから、それをいつ何時でも何処でも意識するのがプロ意識であり、私の場合は、「ママ・アスリートでも挑戦できる、結果を出せる!」という点が目標であり、それを世の多くの女性に波及させたい想いが有りますから、常にプロ意識を用いて、社会に伝達する事、これが私の社会的な使命とも捉えています。ですから、常にプロ意識を発揮して、使命を追求しないといけないと思います。

私はかつて、あれも得意、これも得意、これも強み、あれも強み・・・と、多くの装備を持ってきたつもりですが、現在では、私の強みは「母である事」の1つに絞っています。これを自分自身に留めること無く、いかに社会に影響させるか、これを常に考える事が、現在のプロ意識と考えています。

ファンとの繋がりの現状は?
(ファンの価値と関係性の実態は?)

アスリートエールの記事でも、ファンの皆様に伝えている事があります。

「私が一本の木ならば、ファンの皆様は大地です」と。

大地からの沢山の水分・栄養を受けて、私は大きく太く成長できます。私自身も、より沢山の栄養を頂けるように、しっかり根を伸ばさなくてはなりません。そして、「恩恵を貰う」だけではなく、葉を付け、実となり、種を生み、木々を増やし、大地を生きた土壌にする、、、

つまり「私が与える」事が何かを追求しなければなりません。選手とファンの関係は、お互いに貰う、お互いに与える関係。現在の私は、とにかく、ママ・アスリートとしての挑戦を達成する事ですから、そこに応援と支援を頂く代わりに、多くのママや女性に、具体的な希望を提供する場を作る事を社会との繋がりと考えています。時間が掛かったとしても必ずこれも実現します!

競技資金をどのように調達している?
(スポーツにお金は必要?)

モーグル競技は4年に1回のオリンピックで放映されますが、日本では五輪以外で話題にならず、マイナー競技の1つですから、競技資金の調達は大きな壁です。

私の場合は、アスリートエールで小口協賛金を募っているのと、地元の後援会からの支援金を競技資金に充てています。オンラインでもオフラインでも、ファンを重視しなければ投資を受けられませんので、もっともっとファンの方々と広く繋がる必要があります。
今はまだ大手企業スポンサーが付いていませんが、前述の「貰うだけでは無く、与える事を深く考える」という点で、いかに企業に役立つかを考える事で、企業スポンサーからの協賛金を得たいと考えています。
多くの選手がロゴを貼るだけで協賛金を得られると考えていますが、アスリートエールのセミナーで、「企業はロゴ広告を出す事が目的では無い、自社商品の売上金を上げる事こそ、スポーツ投資の目的だ」と学んだ事が、今後の交渉に大きく影響すると思います。ロゴを貼らなくても、売上に貢献できる手法も学べましたし、企業とファンは繋がっている関係にある事も理解できました。

ファンを大切にする事は企業協賛金にも影響する事ですから、資金難を解決する為にも、ファン重視と企業貢献を追求して行きたいと思います。

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セカンドキャリアや人生目標は?
(アスリートとしてどう生きる?)

女性アスリートが、アスリートとしての人生ばかり描いている現実を変えたい!

スポーツ界では、一昔前なら恋愛禁止も有ったし、結婚や出産でチームを外される事も有る。アスリートである前に、一女性であり、一人間です。
10~30代の女性には沢山の変化があり、アスリートだからこその良き経験も多く得られますが、結婚や出産によってその経験ができなかったり、踏み留まったり、肩身の狭い思いをさせられる女性アスリートやママ・アスリートが存在します。私は、それはおかしいと思うのです。女性に生まれたのに、アスリートの道を選んだら、女性である事が足かせのようになってしまう社会を変えたい。私自身が変われば、後輩達の環境も変わるはずですし、少しでもスポーツ以外の女性にも事例を見せて、生活環境を変えてほしいと思います。

自身の変革・周囲の理解・保育環境・人生設計の見直し・・・
例え引退しても、「女性の変革」という世界観は一生追求するつもりです!

感動以外に、何を社会に提供できる?
(アスリートの価値とは?)

「女性は母になってこそ強い」という事の訴求。

これはスポーツに限らない事ですが、女性にとって結婚・出産というライフステージは、人としての経験値をグンとあげる貴重な瞬間です。結婚・出産は、人生・命を懸けた覚悟を決めた瞬間でもあります。そんな経験をしてきた女性こそ、本当に強いんだという事を私は社会にメッセージを送りたいと考えています。対象は女性アスリートである事は勿論、全女性です。私がメダルを取って情報伝達の幅が大きく成れば成る程に、女性アスリートの可能性が広がりますから、女性アスリートの周辺環境を変革したいという願いは勿論ですが、一番大切なのは、女性としての人生設計がまだと言う若い女性アスリートに再考するきっかけを与える事です。
勿論これらは、スポーツに関係無くとも、全ての女性に「女の強さの再認識」を訴求したい考えです。

アスリートの不祥事・犯罪をどう思う?
(同じアスリート職業者への意見は?)

教育の場がすっぽり抜け落ちている、指導される機会も無い、という印象があります。

アスリートには「強い意志」と「高い倫理観」が必要で、2つをコントロールする教育が重要。

アスリートとして「自分がやってやる!」といった、一見わがままとも思われる程の強い意志を表現する事は絶対に必要。ビックマウスと言われたり、結果が出なかった時に批判されたり、それを恐れる選手も多く、日本のスポーツ界では勇気がいる事なのかもしれませんが。例えば、「五輪で金メダルを取ります」と言いたいのに、「ベストを尽くします」と抑えた表現になってしまう事例は、果たして良い事なのでしょうか。そこに強い意志を読む事ができません・・・これは表現だけの問題では無く、とにかく全ての事について、自分の意思をコントロールしなければなりません。

又、アスリートは未知の領域にチャレンジする勇気が必要ですが、勇気を出す方向を誤ってしまうケースも少なく無いと思います。この方向付けを正しくコントロールし、時に抑制するのが高い倫理観だと思います。私が一番嫌なのは、上辺だけ良い子のアスリート。笑顔・挨拶・礼儀等の目に見える部分は勿論大切ですが、意思・秩序・規範・仁義等の見えない部分こそ磨かなければならないと思います。それを社会にどう出すか、それがコントロールの問題です。
こんな場面をよく目撃します。社交辞令的に「先輩の事を凄く尊敬しています!私もがんばります!」と発言する一方で、裏手では「あいつ、うざい」と・・・こういった日常的な所でも秩序や規範が問われる始末。変に周りを読み過ぎる選手が多いのかもしれません。嫌なら嫌と最初から強い意志で言えばいい。明確な意思を表現する事が、自分の倫理観を磨く事もあるはずです。

自競技を発展させる為にどう動く?
(競技普及へのアイデアは?)

とにかく一緒にやる!

これは応援して下さる方々との距離を縮めたい想いからなのですが、オフトレーニングを「大人の陸上部」等と称して部活のようなものを始めたいと考えています。

皆で一緒に実行して、目標に向けて一緒に達成する・・・それは、競技とは無関係の方1人1人が自分の成長の為に取り組むもの、と気付いて頂ければ結果的に競技に誘引できるはず。スキー競技に誘引したいから「スキーを一緒にしましょう」ではなく、陸上トレーニングやトランポリントレーニングに、スポーツに関心の無い方までをも巻き込んで行く事、これが重要だと思います。小さい活動ながら、私は今これを実践しています。

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プロフィール
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名前:新谷 奈津美(Shintani Natsumi)
生年月日:1984年6月25日
出身地:東京都三鷹市
練習拠点:東京都小平市、長野県北安曇郡白馬村、長野県飯山市・戸狩スキー場
身長:150cm
体重:43kg
血液型:A型
Webサイト
http://athleteyell.jp/shintani_natsumi/

スキー・フリースタイル・モーグル競技で全日本選手権を戦っていたが、結婚・出産・育児を経験する過程で2015年に一度引退。その経緯で女性アスリートの在り方を再考して、2016年に引退を撤回し、ママ・アスリートとしての再挑戦を開始(32歳)。独身時の目標・日本一を大きく上回る、ママ・アスリートで世界一を目指すという宣言で、周囲を驚かせる。単にアスリートとして強く成るだけではなく、女性の輝きを社会に訴求する為の再挑戦を始めた。
2018年・平昌冬季オリンピックの4年後、照準とする2022年・北京冬季オリンピック時は37歳と成る為に(準備期間6年)、この年齢での表彰台入りは過去に前例が無いが、前例無き事こそ挑戦の意義があると、生活・思考・行動を全て変革して、無謀と言われる夢をいかに現実化するか、大きなスタートが切られた。
【戦績】
2007年:全日本選手権=5位
2008年:全日本選手権=6位
2009年:国体団体優勝・個人2位
2010年:AUS選手権13位
2012年:長女出産
2015年:全日本選手権11位
【特記】
2014年:東大ラグビー部トレーナー就任
2015年:日体協公認アスレティックトレーナー資格取得

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